こんにちは!
しむら皮膚科クリニックの広報担当・坂井です。
先日各SNSに投稿したマダニについての記事ですが、たくさんの「いいね」&「保存」ありがとうございました!
まだまだ元気に吸血しようと私たちを狙う吸血害虫の特徴や対処法について、SNSでは掲載しきれなかった部分を追記しご紹介したいと思います!
なるべくマイルドな画像のみを掲載したいと思いますが、虫が苦手な方は薄目を開けてご覧ください…
アブ
ハチにそっくりな吸血害虫
アブは川や沼、田んぼなどの水辺や湿った場所を好んで発生します。
主に被害が増えるのは6月~9月頃で、気温が18℃以上になると活発になり、30℃を超えると大人しくなると言われています。
昼行性のため、日中活動する時に注意が必要となります。
山や川などに遊びに行って、駐車場で車のエンジンをつけたままにしているとエンジンの熱や排気ガスに反応し、アブが車を取り囲むように集まってくることがあります。
そんな時はエンジンを切って(熱中症に気をつけながら)アブが離れるのを待つか、強力なジェットタイプのスプレーを窓からお見舞いしてやりましょう。
アブの厄介なポイント
- 咬み切ってにじんだ血を吸う
- ハチと見た目が似ている
アブは皮膚を咬み切って、そこでにじんだ血を吸います。
蚊は針のような口で刺す時に麻酔のような物質も注入するので、刺されたことに気づかないこともありますがアブはその点大胆なので咬まれた時に気づきやすいです。
また、アブの唾液には血液が固まらないようにする成分が含まれています。
アブに咬まれたときはこの成分を出すように、血液を絞り出すようにして手当しましょう。
かゆみは咬まれた直後より、数時間から数日後にピークを迎えることが多く、2~3週間ほど続く場合もあります。
腫れや痛みが強い場合は我慢したりせず、皮膚科にご相談ください。
アブは大きさや羽音からハチと間違われることがあります。
大きさや羽音だけなら、よく見ると見分けられたりもしますが、スズメバチそっくりに擬態したアカウシアブも存在します。
ハチは自分自身や巣が危険と判断した時に攻撃してきます。
ハチを刺激しないよう、静かに離れればそれ以上深追いしてきません。
しかしアブは吸血するために人を襲ってくるので、とってもしつこいです。静かにジッとしていると咬まれてしまいます。
またハチはアブに比べて曲線を描くようにゆっくり飛ぶことが多く、ホバリング(空中で静止)することができますが、アブはハチより素早く一直線に飛行しホバリングはできません。
ぱっと見ではわかりにくくても、よく見るとアブは大きな目が特徴的です。
ちょっとこわいですが、ハチなのかアブなのか落ち着いて見極めて対処しましょう!
マダニ
こわい感染症をひきおこすこともある危険な吸血害虫
マダニは日本全国に分布し、自然豊かな環境に多く潜んでいます。
春から秋にかけてキャンプ、登山、農作業など山や草むら、公園で活動する機会が多い時期にマダニの被害も増えてきます。
マダニの厄介なポイント
- 活動時期が長い
- 咬みついたら離れない!
- 危険な感染症を引き起こすことも
夏に活発になるイメージの吸血害虫ですが、マダニの活動時期は3月~11月と思いの外長め。
春から秋にかけて人々がレジャーを楽しむ時期に活発に活動します。
マダニは、植物の葉陰で野生動物や人を待ち伏せして、その体に付着するので近所にペットのお散歩をする時などにも注意が必要です。
マダニは引っ張っても抜けません。
蚊などは血を吸ったらすぐにいなくなりますが、ダニ類は長期間吸血します。(中には10日間以上くっついたままのこともあったとか!)
吸血前の大きさはおよそ3~4mmほどですが、吸血後には3~4倍の大きさになります。
マダニは吸血する時に麻酔のような物質を出すため、吸血されていることに気づかないこともよくあります。
大きく肥大したマダニを見つけて、ようやく気づくというパターンも少なくありません。
マダニは咬みつくと同時にセメント物質を分泌しガッチリと食らいつくので、無理にとろうとマダニの顎が皮膚の中に残ってしまいます。
マダニの除去は皮膚科で、除去・洗浄を行いますので早めに受診してください。
①野外活動した日にち
②場所
③発症前の行動
マダニに咬まれるとかゆみだけでなく、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、ダニ媒介脳炎、ライム病などに感染する恐れがあります。
マダニに咬まれた後、数週間ほど体調の変化に注意をしてください。
発熱等の症状が出た場合は医療機関で診察を受けましょう。
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)
マダニが保有するSFTSウイルスが原因です。
潜伏期間は6~14日ほどで、症状は発熱、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛(時に頭痛、筋肉痛、意識障害、呼吸不全症状、出血症状)などになります。
致死率も高く、SFTSウイルスを保有するマダニは日本国内でも確認されています。
ライム病
マダニに咬まれ、スピロヘータという細菌に感染することで発症する感染症です。
潜伏期間は咬まれてから1ヵ月ほどで。
紅斑とともに高熱、頭痛、悪寒、全身倦怠感の症状が出ます。治療せず放置すると、さらに神経症状や心臓症状、関節症状など様々な症状が現れます。
ダニ媒介脳炎
ダニ媒介脳炎は、各種のマダニによって媒介されるフラビウイルス感染症です。
ダニ媒介脳炎ウイルスを持ったダニの吸血によりウイルスに感染します。
ブユ
音もなく近づく厄介者
ブユは体長1~5mmhどの小さなコバエのような姿をしています。
日本全国のきれいな水辺などに発生します。
地方によっては「ブヨ」「ブト」と呼ばれることもあります。(私はブヨ派です)
日光が嫌いなブユは早朝や夕方などの陽がまだ高くない時に活発に活動します。
キャンプや夏フェス、川釣り、ゴルフなどで自然豊かな屋外に早朝から活動する時は、要注意です。
ブユの厄介なポイント
- 音もなく忍び寄る!
- 蚊よりもかゆい!!すごくかゆい!!!
- ブユも活動時期が長い
プゥ~~ンという蚊の羽音、嫌ですよね。
でも蚊が近くにいるなと、警戒できるからまだマシなのかもしれません。
ブユは羽音もなく近づいてきます。
蚊が針のような口で血を吸うのに反し、ブユはノコギリ状の口で皮膚をかじり、流れ出た血をすすります。(字面だけでもおぞましい…!)
気づかない内に血を吸われていることもよくありますが、さらに厄介なのはその後です…
ブユが吸血する際に皮膚の中に注入される成分は、蚊のものよりも毒性が強く、激しいアレルギー反応と炎症を引き起こします。
蚊による虫刺されの症状は、だいたい数時間で治まりますがブユの場合は時間の経過と共にしつこいほどにかゆくなります。
しつこいかゆみだけでなく、赤いしこりや、色素沈着、ひどい場合は患部が腫れ上がることもあります。
アレルギー症状や細菌感染を起こして炎症がひどくなる場合もありますので、我慢せず皮膚科を受診してください…
ブユが発生する時期は、3月から10月頃までと蚊よりも長いのが特徴です。
特に動きが活発になるのが梅雨の時期から9月頃。
またブユは発生数が多く、大群で押し寄せてくることがあります。
前述の通り、日光が嫌いなので日中は大人しくしています。
しかし、曇や小雨で気温があまり高くない昼時では1日中襲いかかってくることもあるので注意が必要です。
吸血害虫におそわれないために
なるべく肌の露出をひかえる
暑くて大変ですが、極力肌を出さないようにしましょう!
しかしブユやアブは服の上からでも果敢に攻撃してきます。
ストッキングのような肌にピタッとはりつく薄手の服装では上から食い破られることもあるので、服の上からも虫除けスプレーをすることをおすすめします。
虫除けスプレーを正しく使う
言うまでもないかと思いますが、虫除けスプレーを使うこと。
吸血害虫は人が発する温度・湿度・匂いなどを元に吸血します。
虫除けスプレーは吸血害虫の感知能力を撹乱し、吸血行動を阻止します。
虫除けスプレーには主にイカリジン成分とディート成分があります。
忌避効果のある対象や年齢によって使用方法が異なったりするので、パッケージをよく確認して正しく使用しましょう。
ディート
忌避効果の対象が多く、効果も高く長く続くのでアウトドアやスポーツなどのシーンでも利用しやすい虫よけ成分です。
ただし12歳未満のお子さんに使用する時は、使用方法や注意を守って正しく使用する必要があります。
6ヵ月以上2歳未満は1日1回、2歳以上12歳未満は、1日1~3回までと使用の目安が決まっています。
生後6ヶ月未満の赤ちゃんには使用できません。
また、ディートの濃度が30%の製剤は12歳未満には使用しないこととされています。
中学生以上にはディート30%のものが使用でき、効果は5~8時間持続します。
この他、ノミ、トコジラミ、ヤマビルにも効果的です。
イカリジン
イカリジンは年齢による・使用回数に制限がないため、小さな子どもや赤ちゃんにも使用することができます。
5%~15%の濃度のものが販売されておりますが、ディートのように濃度によって使用が制限されることはありません。
濃度が高いほど効果も高く長いので、山や川など自然豊かな場所へ行くときは15%のものが良いと思われます。
15%のイカリジン製剤はだいたい6~8時間効果が持続します。
この他、トコジラミやヤマビルにも効果的です。
自然の中で遊ぶということは、人間が害虫と呼ぶ虫の領域に踏み入れるということ。
でも自然の中で遊ぶには、こわがってばかりもいられない!
各吸血害虫の特徴を把握し、予防をしっかりして楽しいレジャーの思い出を作りましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!